アメリカ・ノースカロライナ州にある日本人向けの牧場「グリーンウェイランチ[GREENWAY RANCH]」ブログ

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2018

2018年フチュリティー四方山話 (ファイナルでの出来事)

まことに勝負の世界は厳しく、何が起こるかわからない。

今回のブログでは、
「2018年フチュリティー四方山話 (痛いペナルティーポイント・後編)
を公開する予定だったが、フチュリティーの結果をNRHAのサイトで見ているうちに
ある記事が目に止まってしまい、先にそれについて書いてみたくなった。

オクラホマのフチュリティーレベル4で決勝戦に残った30頭中
多くのマッチョな牡馬にまみれて4頭の牝馬がファイナルに残った。

ファイナルに挑戦するのは25頭の牡馬、1頭のゲルディング、4頭の牝馬で、
彼らは1次予選、2次予選を勝ち抜きファイナルに駒を進めることのできた人馬。
どのペアが優勝しても不思議ではない30組の選りすぐりの集団だ。

年の最後に行われるオクラホマのフチュリティーレベル4で成績を収めるためには、
僅かなミスも許されず、乗り手のショーイングの技術と馬の能力を最大限に出し切り、
そして無事にパターンを演じきった者が好成績を出す。
そこには、予期せぬアクシデントと紙一重のリスクを背負った
パフォーマンスが必須となるわけだ。

そして、このエリート集団のクラスにして今まで見たこともないようなことが、
2018年のオープンファイナルで起きてしまった。

2年に渡る厳しいトレーニングに耐え、競技会前の調整トレーニングとオクラホマへの
馬運のすえ、たどり着いた競技会場。
そこでも馬の調整運動は行われるため疲労はさらに蓄積されるが、
会場の環境ではゆっくり心身を休める事もできないほど騒がしく雰囲気は緊迫している。

そのような状況で、2度の予選を無事通過しやっとファイナルまでたどり着いた
牝馬のファイナリスト4頭の中の1頭が
(エッ!!?) 
と思うような前代未聞の事を競技中にしたのだ。

今年のファイナルで指定された経路はパターン10。
馬場へ入場する時の最初のマニューバー(演技)は、
一次予選と同じで勢いよく直線で入場し、スライディングストップの後
すぐさまバックアップに入るというランインだった。
非常にドラマチックな演技の開始に観衆は沸き立ち大声援が上がるパターンだ。

オクラホマの会場、特にレベル4のクラスの観客数は今まで競技慣れするために
連れていかれたあらゆる競技会より馬たちを興奮させるのは想像がつく。
そんな中、ある1頭の牝馬はスライディングストップの後バックアップしている最中に
事もあろうに座ってしまったのだ。
騎乗していたトレーナーはこの後、馬を座らせたまま馬に愛撫をし下馬している。

download.jpg


(この写真はサイトから使わせていただいたものです。 
動画を見る限り、馬は前足から人間だったら「ドッコイショ」という感じで
ゆっくりと地面に座りました。 
これについて、鎮静剤を使用していたのではないか、尻尾を踏んでしまった、
オーバーワーク、など様々な意見が寄せられていました。)

この出来事は大きな物議をかもし多くの投稿があった。
当事者でなければ分からないことがあるのに、世間は黙っていられない。
色々な憶測を元に、馬のサイドに立って馬に同情する意見、
そして逆にそのトレーナーに向けられた中傷に反論する意見。

後のインタビューでその馬に騎乗したトレーナーは、
「馬が座ってしまったのは尻尾を踏んだために起こったのではない。
彼女はいつもの状態ではなく、多くの観衆に囲まれて怖がっていた。
ストップもいつもするストップとは違い、馬も自分も2週間の競技生活に疲れていた。
馬が座った時、起こして走行を続けることもできたが、
それをするのは気の毒だと思いその場で下馬する事を選んだ。」

たとえ馬が走行の途中で座ってしまったとしても、下馬せずに馬を起こして
パターンを演じ切れば何らかのスコアはルール上では与えられたはずで、
オクラホマのオープンファイナルでは最下位でも賞金が発生する。

現に、30頭中一組の人馬はスコア0という結果を出したが
9800ドルの賞金を獲得した。
あえてそれを承知で競技の棄権を選んだトレーナー。
その心中、そして馬主の心中はいかに・・・。

追伸。

この出来事に対して、愛馬家(動物愛護家?)から沢山の意見がありその多くは
トレーナーに対してネガティブな印象を与えるものであった。
私個人は彼の事は全く知らず、
でももし知っていたとしても公の場で人を中傷するような投稿は好まない。

だけど、一つだけ言わせてもらいたいのは、彼がどのようなトレーニングをするかに関係なく
このトレーナーは、3頭の馬を見事にファイナルに残していて、その事実を知ると、

・優秀な馬を持っている馬主が彼のテクニックと人格を信用して預けた事実。
・オープンフチュリティーのレベル4に残れる能力を持っている馬は、
毎年、多数生産された馬のほんの一握りである。
その一握りの中で彼に預けられた馬をこのレベルで競えるように仕上げた陰には
馬に対しての大変な気遣いがあってこそ成り立つもの。

・・・こういうことを考えれば、このトレーナーも馬への愛情が根底にあるからこそ、
今の仕事に情熱と努力を持って年月を重ねてきているはず。
そして、馬をつぶすことなく競技会の頂点でその馬を披露するという
大業を成しえたのではないだろうか・・・。













2018/12/10 1:10:26 | リンク用URL

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