アメリカ・ノースカロライナ州にある日本人向けの牧場「グリーンウェイランチ[GREENWAY RANCH]」ブログ

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Jul

06

2017

ホースセンス (レッスンは一期一会)

先日、レイニングの集中レッスンを受けに日本からゲスト(A氏)が見えた。

A氏の乗馬年数は長くないが、技術を学ぼうとする情熱は今までプロをも含めて
見たことがないほど熱いものがあり、グリーンウェイランチに来場されるごとに
乗り方が進歩している様子はいつも驚かされる。

指導する側もA氏の意気込みと上達した姿から
前回より上のレベルに合わせたレッスンができるので、
A氏を迎える時はとても楽しみな数日間となる。

グリーンウェイランチを訪れると、
A氏は1分の時間をも惜しむかのように馬上で過ごされる。
(今回は5日間の集中レッスンで35鞍騎乗された)

レッスンのパートナーを務めたのは、A氏の愛馬と、
普段は初心者や研修生の練習の相手をするレッスン馬2頭で合計3頭。
レッスン馬と言っても、ちゃんとトレーニングを受けたレイニングホースたちである。

季節がら暑い気温の中での乗馬レッスン。
短い日数で沢山の鞍数をこなさなくてはならない馬たちに向けて、
どのようにレッスンを進めたら良いか大雑把なプランをたてた。

馬にストレスを与えず、体力を維持させながら
フレッシュな状態で運動させなくてはならない5日間。
その他に大切な事として、乗り手が満足し良い時を過ごすのは絶対不可欠だ。

私は、A氏から渡米の予約を受けパートナーを務めるレッスン馬一頭に
スライディングストップの為のプレート
(馬がストップしながら後ろ足をロックして滑るための蹄鉄)
を二か月前に装着してストップすることを開始した。

ストップのやりすぎは後躯の関節を痛めやすく、
必要でない限り、馬のクオリティーを下げないように
普段はむやみにさせないでいたためだ。

もう一頭は小柄で、この馬には負担をかけないようストップのレッスンはしないと決めた。
その代わりに、駈歩でサークルを描きながら馬場での位置を確認する作業や、
馬の姿勢の取り方の説明と、スピンを取り入れることにする。

A氏の愛馬もレイニングの全ての動きを学んでおり、
この馬に関しては、競技会のために愛馬の感覚を養ってもらいたく、
自由に騎乗して少し遊んでいただこうと考えた。

馬は一頭一頭、乗り味も違えば性格も違う。
馬たちが同じような調教法を受けていても、乗り手が変われば馬の動きも変わる。

運動中に普段の騎乗者(トレーナー)の指示とは違うものを馬が感じた時、
素直に従う馬もいれば、逆に他の乗り手のいつもとは違うニュアンスに対して
馬自身が優位に立とうとする場合もある。

そのような馬は、扶助(合図)を受けても意思にそぐわない動きをして、
騎乗者の技量をはかりにかける賢さがあり、
それに対し的確な対応をしないと途端に悪さを始めたりする。

天気の変わり目や、餌を与える時間帯に運動するとき、
同じ運動の繰り返しで馬が飽きたり、疲労がたまった場合など
馬の集中力が散漫になって動きが悪くなる場合もある。

レッスン中に、人馬の一挙手一投足をつぶさに観察し、
意思の疎通がうまくいかない場合は、上記したような内容を加味しながら
原因を探して騎乗者に伝えるようにしている。

乗り手にその状況で、どう馬に対応すべきかいくつか引き出しから引っ張り出し、
乗り手のレベルで一番やりやすい方法を選び説明する。
それを馬の動きに表現されるまでがレッスンの一コマとなる。

一コマ、一コマを繋ぎ合わせることによって人馬が調和した運動の流れとなるため、
レッスンは正に一期一会なのだと感じることが多い。

ある意味では、指導という偉そうなものではなく、
馬と騎乗者の関係が常に良好であることを目指すコーディネーター的な存在が、
指導者なのかもしれない。

私は、自分自身が馬に乗る時も、その度に自分に言い聞かせることがある。
それは、この馬に乗って今行う運動は一期一会。
それ故にいかなる時も真摯に、心をオープンにして静かな気持ちで馬に接するべし。
まだまだ、この心境に達するには時間がかかりそうだけれど・・・。

英語で馬に行う調教や調教の種類を Discipline と表現するが、
ある意味で、騎乗者は一期一会の精神を持って、自分自身をも Discipline してこそ、
初めて馬と一緒に良い運動が出来るような気がする。

100_3894.JPG


(あるレッスンシーンです。) 

参照内容:
一期一会とは、茶道に由来する日本のことわざ。
茶会に臨む際には、その機会は二度と繰り返されることのない、
一生に一度の出会いであるということを心得て、
亭主・客ともに互いに誠意を尽くす心構えを意味する。







2017/07/06 2:41:40 | リンク用URL

Apr

06

2017

ホースセンス (牡馬の去勢手術)

先日、2歳になる牡馬の去勢手術が行われた。

動物の去勢に関してはいつも複雑な気持ちになる。
特にグリーンウェイランチで生まれた牡馬を去勢するか否かは
私自身が決めなければならず、いつもクヨクヨと迷うところである。

しかし現実を冷静に考えると、種オスにするのなら別として
牡馬は管理が難しい上に、ここは乗馬施設であるということと、
馬を扱いなれない研修生も訪れるため、
安全性という面では去勢するのがベストに思える。

人に管理されている動物たちは、
悲しいかな人間の都合でその生き様が左右されてしまう。

去勢手術に立ち会う時はいつも心の中で、
(ごめんね・・・)と思わざる負えない。

さて、前置きはここまでにして・・・、
下手くそながらスマホを扱えるようになってきたので、
動画を通して、馬との生活がどのようなものなのか様々な局面を
グリーンウェイランチのFBにて配信するように務めている。

私は感覚的な人間なので、気が向いたことしかやらないところがあり、
なぜ動画の投稿に熱心になるのか自分自身よく分からない。
ただそのように「動かされる」のは、
それが私の務めの一つなのではないかと感じる時があるからだ。

「だから何なの?」 と言われても困るけど馬好きな人たちが馬について
まだ知らないことがあるのなら少しでも役に立てればと思う。

今回の去勢の動画はどこまでフォーカスして公開すればよいのか迷った。
見る人によっては、「気持ち悪い」あるいは 「可哀想」と感じるだろう。

若馬のブレーキングの動画と同じように、
公開する映像は注意深く選んだ方が良いのではないかと思い、
いくつかに区切った動画を選んでいたら
犬のハナが麻酔で横たわった馬に心配してくっついている様子に心打たれ、
「藤本みどり」のFBに、その動画だけをアップした。

0403171042a.jpg



ところが、以外にも手術の行程を知りたいとの意見があり、
グリーンウェイランチのFBにて撮影した動画をすべて公開することにした。


「グリーンウェイランチ」HPの「ホーム」のページの右下で
フェイスブックに投稿した記事と動画を見ることができるので、
興味ある方はそちらでご覧頂ければ幸いです。

動画は区切られているため順を追って見やすいように、
最後の動画を最初の方へ持ってきてあります。








2017/04/06 22:01:15 | リンク用URL

Feb

16

2017

ホースセンス (アメリカンタイシ)

今回は、
フェイスブックに新馬調教の動画で登場している馬をご紹介します。

通称タイシと呼ばれているこの馬は、
2015年5月17日、グリーンウェイランチで誕生した今年2歳の牡馬です。

タイシの正式名は、アメリカンタイシ (American Taishi) と言います。
このちょっと変わった名前の由来はというと、
今まで仔馬たちの名付け親をしてきたわけですが、
私も生産者のほとんどがやるように子馬の名前を聞くと
すぐ血統が思い浮かぶ名前を付けてきました。

そして、しばらくはそんなものだと思っていたのですが、
なんの個性もない思い入れもないような命名に飽き飽きしてきた頃の事です。

タイシの母モールは、気丈で警戒心が強く馬小屋で出産させようとすると
予定日が過ぎても生むのを我慢してしまうようなところがあります。
夜中の見回りが長引き、ほとほと人間の方が疲れうっかりしたときに
さっと仔馬を産んでしまうのがいつものパターンでした。

そんなモールが珍しく馬小屋でそれも日中に仔馬を出産したのが2015年。
その時、初めてモールの出産に立ち会うことができたのですが、
一緒に出産を見守った研修生が仔馬を愛おしいそうに見つめながら
「名前をなんて呼びましょうか。」 と私に聞いてきました。

生まれ落ちて間もなく仔馬が立ち上がっては転ぶという段階をくり返している時に、
転んだ弾みで下顎に生えてる産毛に敷いたわらが絡まり、
私には、それがまるで聖徳太子のひげのように見えました。

「そうねぇ、ひげが聖徳太子みたいだから・・・タイシと呼ぼう!」
とすぐに答えました・・・この時はちょっとしたジョークのつもりだったのですが・・・。

それから半年間、この仔馬を米クォーターホース協会に登録するため
正式名を考え続けたある日、ひょんなことからヒントにぶつかりました。
タイシが生まれた2015年は、アメリカ競馬会にスゴイ馬が出現した年でした。

この競走馬は、37年ぶりに米クラシックの三冠
(ケンタッキーダービー、プリークネスステークス、ベルモントステークス)を制覇して、
その後ブリーダーズカップ・クラシックも優勝という史上初めての偉業を成し遂げました。

アメリカ在住のエジプト人がこの馬の生産者&オーナーで、
その馬にはアメリカンファラオ (アメリカの王)という名前がついていました。

生産する馬に夢を託す気持ちは私も同じです。
私は、その偉大な競走馬の名前にあやかろうと、
アメリカンファラオが大活躍した年に生まれたモールの子供には、
すでに聖徳太子(厩戸王、うまやどのおうじ)から取ったタイシ(太子)という
名前がついていたので、アメリカンタイシにしようと思いつきました。

偶然とは面白いもので、
アメリカンファラオの母の父は、ヤンキージェントルマン(Yankee Gentleman)
という名前で、タイシの父はラウディヤンキー(Rowdy Yankee)と言います。
血統的なつながりはありませんが、ヤンキーが重なり面白いと思いました。


下記にタイシの血統を紹介します。

タイシの母馬は、ガナーズモール (Gunner X Sidewinders Doll)
牧場ではモールと呼ばれグリーンウェイランチの基礎を作った女王様みたいな存在です。
モールの父は泣く子も黙る、白面で有名なあのガナー、 
2014年に6ミリオンダラーサイヤーとなり、種牡馬ランキング3位です。

若き日のモールは、レイニング初心者で下手くそな私を背に乗せ、
リミテッドオープンクラスで幾たびか優勝してくれた女傑です。
youtube にモールと私のベストランが公開してあるのでご興味ある方はご覧ください。
https://www.youtube.com/watch?v=MEDDZpJilRk

タイシの父親は、ラウディヤンキー (Smart Chic Olena X Nita Chex)です。
ラウディヤンキーは、子馬たちの獲得賞金額が2015年に23位に位置しています。
祖父のスマートチックオリーナはレイニング界で
5ミリオンダラーサイヤーとなり、種馬のランキングは4位です。

タイシは血統が良いというだけで、能力はまだ分かりにくい段階ですが、
最近は鞍を付けてつい先日から人を乗せ調馬索運動を始めました。
姿は申し分なく、力強く発達した後躯やバランスのとれたマッチョな馬体は
調教師にえらく気に入られていて今後が楽しみです。


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(2014年、2週目の受精卵、黒い丸の上にポチッと白く見えるのがタイシです。)

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(2015年、誕生して数分後、へその緒を消毒しています。)

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(このあごヒゲにわらが絡まなかったらタイシとは呼ばなかった・・2015年)

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(2016年、1歳になったタイシ)







2017/02/16 0:27:03 | リンク用URL

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