アメリカ・ノースカロライナ州にある日本人向けの牧場「グリーンウェイランチ[GREENWAY RANCH]」ブログ

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みどりのThat’s録・(馬旅2019年 No. 04号) みどりのThat’s録・(馬旅2019年 No. 04号) みどりのThat’s録・(馬旅2019年 No. 04号)
みどりのThat’s録・(馬旅2019年 No. 04号) みどりのThat’s録・(馬旅2019年 No. 03号) みどりのThat’s録・(馬旅2019年 No. 03号)
みどりのThat’s録・(馬旅2019年 No. 03号) みどりのThat’s録・(馬旅2019年 No. 03号) みどりのThat’s録・(馬旅2019年 No. 02)
みどりのThat’s録・(馬旅2019年 No. 02) みどりのThat’s録・(馬旅2019年 No. 02) みどりのThat’s録・(馬旅2019年 No. 02)
みどりのThat’s録・馬に魅せられて (馬旅2019年 創刊号01) みどりのThat’s録・馬に魅せられて (馬旅2019年 創刊号01) みどりのThat's 録 (ウィリー)
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ジョイのつらつら日記(ビフォーアフターのアフター) ジョイのつらつら日記(ビフォーアフターのアフター) ジョイのつらつら日記(ビフォーアフターのアフター)

Dec

07

2023

みどりのThat’s録・(馬旅2020年 No. 05号)

時は1980年代、バブル景気が始まろうとしていた頃です。

日本に住んでいた私は大学を卒業後、
周囲の学生がするように企業に就職しました。

その動機は今思えば呆れてしまいますが、
当時の私は自分の夢や目標が分からず周囲に流されるまま生きていたので
会社選びの基準は英語を活かせる部署があって、
知名度と所在地が良いというのが主でした。

それに加えて就職活動に至ったのは、父の
「大学を卒業したら会社勤めをしなさい。」
という言葉に従う以外思いつかなかったからです。

晴れて社会人になり安定した収入を得られるようになった私は、
ひょんなきっかけから乗馬を経験しました。 

子供の頃は、セミやトンボを網で追いかけまわし、
捨てられた子猫や子犬を家に持ち帰って母に怒られ、
ヒヨコや金魚を育てたりで・・・
おおよそ女の子が好む遊びとはほど遠い事をしていました。  

そのような、動物と自然が好きと言う性分が土台にあったせいなのか、
一回の乗馬経験で馬の虜になり寝ても覚めても馬の存在が
私の心の大半を占めるようになっていきました。

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通勤電車の中で手にする本は決まって馬に関するもので、
会社のデスクには大好きな馬の写真を置いてそれを眺めながら、休みの日が来るのを
指折り数えた状態で9年近く会社に在籍したのは褒められたものではありませんが、 
今は無き父が、やっと自分の娘が社会人になり
一般的なレールの上を歩み出したことに安堵している様子を見るに付け
進路を変えて父を心配させたくないという思いに躊躇したのは事実です。 

会社が休みになると馬に取りつかれたように泊りがけで乗馬しに出かける娘の有様に
父が良い気持ちを抱かなかったのは痛いほどわかっていました。  
私には、欲しいものや、やりたいことがあると後先考えずに突っ走るところがあるので、
そんな性格を心配してのことだったと思います。  

それに加えて、私が会社勤務をしていた頃はちょうどバブル景気の真っ盛りの時代で
ボーナスを含めて収入は安定していましたし、
「サラリーマン」という職種は、まだ終身雇用的な傾向があったため退職するのに二の足を踏んでいたのも事実です。  

ただ自分主体の考えになってしまいますが、
中学から高校卒業するまでの4年間をアメリカで過ごした私にとって、
日本の企業で働いた経験は日本人特有の精神性を知るきっかけになったとともに、
どちらかというと、お堅い部署である総務部人事課に配属されて得た感覚は、
現在の牧場運営という全く畑違いの仕事であれ、
大きな糧になったのでありがたい時間を過ごさせていただいたと思います。  

楽な生き方を選ぼうと思えばできたのに会社を退職後、
紆余曲折を経験しながらなぜ牧場経営の道を選んだのか、
そしてなぜ仕事としてはハードな馬相手のものなのか、
当の本人ですらその真意は測りかねるときがありますし、
そもそも、今やっていることが現実として起こりえた事も不思議に感じます。

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人生の選択において私の意識が変化しだしたのは、
40年前に日本で乗馬を始めてからでした。  

まだ馬にろくすっぽ乗れない時期から
『自分の乗馬クラブを持ちたい』
という気持ちが密かに芽生え始めたのがきっかけです。  

よく一人で外乗に出て長い時間をずっと常歩しながら
建設資金のあてもないのに、乗馬クラブを建てるとしたらどのあたりにして、
どのようなものを作るのかなど、
心地よい馬の足音を耳にしながら物思いにふけるのが楽しかったのを思い出します。 

乗馬クラブを持つという私の夢はそれから長い年月の間、
ぼんやりした輪郭で漠然としていました。
  
その思いは、まるで砂粒のような小さな種で、
まだどのような植物になるのか見た目には分からず、
果たして発芽することができるのかさえ分かりませんでした。  
そして、その種は心の中で見え隠れしながら存在はしていましたが、
風に吹かれてどこかへ飛んで行ってしまいそうな時も幾度かありました。

スキャン0008 (2).jpg



(写真は日本で会社勤めをしながら休みの日に乗馬クラブへ通っていた頃のものです。)





2023/12/07 23:21:44 | リンク用URL

Oct

22

2023

みどりのThat’s録・(馬旅2019年 No. 04号)

馬に関わる仕事をするようになってから、
私は馬の魅力にはまった多くの人達を見てきました。

人はなぜ馬に惹かれるのでしょうか?
私もその一人で、乗馬に限らず馬に接するだけで心が安らぎます。

馬がなぜ好きなのか? と聞かれてもはっきりと答えられませんが、
馬には私の心を動かす何かがあります。

大きな動物である馬と意志の疎通をしながらいっしょに目的を達成した時
深い感動が得られるからなのかもしれません。

私は呆れるほどに運動神経が鈍くてスポーツ観戦ですら興味はありませんが、
乗馬だけは別でした。

人により乗馬の取り組み方法は違うようで、
スポーツ感覚で楽しむ人もいれば馬そのものに惹かれて夢中になる人もいますが、
私の場合はスポーツとしての乗馬というより
乗馬しながら馬との気のやり取りに関心があります。

MAH00649-14.jpg


(騎乗する時は、馬の耳の動きに注意するようにしています。 
馬が騎乗者に集中しているのかどうかが分かるからです。)


グリーンウェイランチの日常では馬のトレーニングも行いますが、
人馬間の気の疎通なしにして、トレーニングは不可能と言っても過言ではないほど
馬と気持ちで繋がる事は大切だと思っています。

馬と気の交流ができるようになると、
信頼関係、人馬一体感など、どのような言葉を使っても表現しきれないほど
精神的で奥の深いものが感じられます。

IMG_9308.JPG


(スライディングストップの練習です。 
ストップを怖がる馬だったので馬の表情に注目しながら行っています。)


乗馬を始めた頃は、
落馬しないように馬の動きについて行くのが大きな課題でしたが、
鞍数を重ねていくうちに馬より一歩先に進んで馬をリード(運動の選択)
することに喜びを感じるようになりました。

外乗で馬の背から景色を楽しむだけでは飽きたらなくなり、
私の意識は自然と馬を調教することに向いて行きました。

IMG_20220614_0003.jpg


(閲覧注意(笑) 
海岸にある乗馬クラブなのでみんなが海水浴に行ってる間にサラブレッドの種馬、
ヒリュウと一緒に一コマ。 乗馬始めて間もない頃で、遊びながら馬と接してました。)


そのような感覚に芽生えて馬と接するようになり今に至るまでには長い道のりで、
この先、乗馬を続けていく限り終着点はありません。
なぜなら乗馬は技術的な事を体得するだけでは十分な結果を得られず、
乗り手の心のあり方が馬の動きに反映されるためです。

馬と接するとき、
私は自分のマイナス思考や煩わしい感情に振り回されないように心がけていますが、
それは精神修行に近いものがあります。

馬の持つ繊細な感覚は、
人のイライラや不安、怒りといった感情に対して驚くほど敏感に反応するためです。

穏やかに、されど確たる信念と目標を持って馬に接した時、
レベルの差こそあれ人と馬の間に生まれる意志の疎通は
相互の了解のもとで可能になるのだと思えます。

人が安定した精神を伴い、練習により培われた扶助で馬と対話した時、
乗り手は馬に伝える手段をしっかりと踏まえているため馬の動きは矯正されたものではなく、
人の意志を組み取って運動を行います。

先にも述べたように私の運動能力はかなり乏しいものがありますが、
今までの競技成績はそれに反して決して悪いものではないと自負しています。

DSC01332.JPG


(2000年秋。渡米して初めての競技会出場でまさかの優勝でした。)


結果が出せた理由の一つとして考えられるのは、
馬を御すという感覚で騎乗するのではなく、
馬と一緒に運動を心がける事で馬が私の弱点を補ってくれたためだと思えてなりません。

それは、共に運動する相手が機械や道具ではなく、
豊かな感性を持つ動物だから成せる業なのでしょう。







2023/10/22 23:33:04 | リンク用URL

Mar

27

2023

みどりのThat’s録・(馬旅2019年 No. 03号)

好奇心から始まった私の乗馬人生は重ねた年齢の半分以上をしめ、
今は牧場経営の傍ら指導的立場に着く事もありますが、
その時私は口癖のように
「乗馬は馬が先生。 私の役割は騎乗者と馬の間を取り持つことです。」
と生徒さんに伝えます。 

もちろんメカニカルな馬の操作方法を説明した上でのことですが、
この観念は揺るぎないものです。
 
乗馬を始めて間もないころから指導を受ける機会はなく、
先輩方から助言を頂く事があっても、
「そんな時は、こうすると良いよ」
という程度のものでした。

私は馬の事を知りたい一心から「馬」とつく書物やビデオを探し、
人の経験談に耳を傾け馬の様々な分野に関する知識を詰め込みました。 
けれど、せっかく手に入れたそれらの知識は生身の馬を相手にすると、
そう簡単に活かせるものではありません。 

乗馬は調教度合いや性格など一頭一頭異なる動物を相手にするため、
実践で学ぶしかないのです。
 
馬と真摯に接し、感覚の全てを研ぎ澄ましながら
多くの騎乗経験を積む以外に技術向上はあり得ません。

私は最初に関わったヒリュウという競走馬上がりのサラブレッドから、
馬の持つ習性と馬上から感じる動きを僅かながら教わりました。 

40年近く昔、
九十九里浜の海岸にあるクラブに通い詰めて海辺を一人で外乗できるようになると、
目標地点を決めてそこに到達し、
そして次はさらに遠くの目標へと距離を延ばしていきました。

広いどこまでも続く海岸を一人きりで外乗するのに、
恐怖心がなかったわけではありませんが、
馬と共に以前できなかった事ができるようになるのが嬉しくて
その感情は怖さに勝るものでした。 

最初の頃は、常歩に速歩を入れて海岸を散歩し、
駈歩のバランスが取れるようになってきたら
途中に短い距離の駈歩も入れるという方法で
自分に課題を作っていきました。 

ヒリュウと海岸を外乗中に近所の育成牧場の馬たちが走っているのに出くわすと、
競馬の感覚を思い出すのでしょうか。
興奮してチャカつくので凄く緊張したのを覚えています。


そんな状態で1年も乗った頃の事です。 
駈歩に慣れてきたある日、
もう少し速くヒリュウを走らせたいと思ったので、
前傾姿勢を取って手綱を前に送るとゆっくりの駈歩からスーッと速度が上がったのです。 

脚を使ったわけでもなく、舌鼓をしたわけでもありませんでした。 
思わぬヒリュウの反応に感動した私はさらに手綱を前に譲ると
グゥワーンとギアが変わったようにものすごいスピードで走り始めました。 

まるで弾丸のごとく一直線で、強烈なスピード感を肌に受けました。 
波に洗われた砂浜が瞬く間に過ぎて行き、
もしこれで落馬したら大変なことになると、減速させるために手綱を引いても
まるで大木と綱引きをしているようでビクともしません。

馬の背からは、岩の上に鞍を置いて跨っているようで
全身の筋肉が力強く躍動しながら疾走しているのを感じました。
これが競馬でみる襲歩だと初めての経験に驚きと興奮を覚えました。 
ヒリュウを種馬としている理由がこの馬の動きから感じ取れました。
 
襲歩の爽快感を覚えた私は他のサラブレッドで海岸を走った事がありますが、
ヒリュウのようにレスポンスの良さと俊足を持つ馬に会う事はなく、
私はこの時初めて同じサラブレッドでも違いがあるのだと身をもって知ったのです。

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乗馬クラブの運動会で取った表彰状とトロフィー。 
ヒリュウと共に得た快挙でした。

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乗れと言われた馬には何でも挑戦!(笑)
ポニーが一番難しかった・・・です。

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ヒリュウと同じようにこの馬も素直で良い子。 思わずお礼のキスを!

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馬場で乗りながら色々覚えるのも楽しかったけど、
この頃は砂浜を馬と一緒に散歩するのが一番好きでした。












2023/03/27 5:31:25 | リンク用URL

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