アメリカ・ノースカロライナ州にある日本人向けの牧場「グリーンウェイランチ[GREENWAY RANCH]」ブログ

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Dec

06

2016

ホースセンス(2016年オクラホマフチュリティー)

まだ心身ともに発育途中の3歳の若駒たちにとって、
もっとも過酷なオクラホマのレイニングフチュリティー(レイニングの新馬戦)
が先日終わった。

この試合に矛先を向けられた子馬たちは、
通常1歳になった年の晩秋からハードなトレーニングが始まる。
その大舞台へ登場するまでの道のりにある厳しい現実を見てきた者としては、
まだ幼さが残る3歳馬のオクラホマの試合は興味惹かれながらも心痛むことが多い。

しかし、どのような血統がベストオブベストのグループに入って
3歳馬競技の頂点とも言えるオクラホマのフチュリティーで活躍する様子は
興味深いものがあり毎年この時期はライブ放送を見入ってしまう。
もちろんどのライダーがその若駒たちにまたがるのかも知りたいもう一つの理由だ。

今年のフチュリティーは10日間の開催で、
その最終日の12月3日にオープンクラスのファイナルが行わた。
ファイナルで晴れの大舞台を踏めたのは、
11月24日から29日にある2回の予選に勝ち残り出場権利を得た人馬たちだ。

オープンクラスのフチュリティーにエントリーされた馬の頭数は380におよび、
ノンプロのエントリーも含めるとフチュリティーだけで580頭となる。
この数からもオクラホマでの試合の規模がいかに大きいかが分かる。

ここで取り上げているのは、
ファイナルに残ったトップ30の人馬で
オープンクラスの中でも一番の難関レベルで接戦を繰り広げたチームである。


レイニングの大きな試合では、オープンクラスは騎乗者の獲得賞金額でレベル分けされる。
レベルは1から4まであり、レベル4での挑戦は誰でも許されるが、
獲得賞金が多くてレベル4でしかエントリーできないライダーもいる。

そのようなすご腕のライダーとコンビを組む馬たちは、
否応なしに競争率が高い試合で健闘するしかない。


今月3日に行われたオープンフチュリティーレベル4のファイナルで見事優勝したのは
225.5のスコアを出したアンドレア・ファパー二&スプーキーウィズのコンビで、
賞金額15万ドルを獲得した。

それに続いて2位は、タイのスコアの221を出した2組で
ショーン・フロリダ&ウィズゲタプライズのコンビと
フランコ・バートラニ&ダンイットフォーウイズキーだった。
各チーム110万ドルの同額を獲得した。

今回のファイナルで私の記憶に残る事の一つとして、
アンドレア・ファパー二が優勝した馬にロマールレーンを使用したことだ。
この手綱でのショーイングは西海岸ではたまにあるらしいが、
最近はほとんどのライダーがスプリットレーンを使用するため非常に珍しかった。

スプリットレーンは、
2本の別れた手綱を片手で持ち、レーンの間に人差し指だけを入れて馬を操作する。
走行中に2本の手綱のハミから拳までの長さを指定された拳の形のままで調整して
馬とのコンタクトを工夫することができる。

ところがロマールレーンは、
手綱が途中で繋がっていてそれを持つ手は
2本の手綱をゲンコツの形で一握りに持ち、手綱の間に指を入れることは禁止されている。
この方法は、馬の口と微妙なコンタクトを取ることを難しくさせるので
ロマールレーンをあえて使用するライダーは限りなく無に近いと言って良い。

ファイナルが終了すると、その直後にコロシアムで表彰式があり
表彰される人馬は本馬場で軽く見せ場を作るが、
ファパー二は騎乗する馬の口からハミを外してブライドルレスで馬を操った。
3歳にしていかに仕上がった馬かという事をアピールしたかったのだろう。

いずれにしろファイナルに出場した馬たちは、みんな遜色なく素晴らしく、
その馬たちの身体能力や精神力の強さを感じた時は心打たれるものがあった。

今回のファイナルでは、
今までのウォークインのパターン(経路)と異なりランインが指定された。

ランインとは、馬場に入場する時にゲートから向こう正面に向かって駈歩で直進し、
スライディングストップをするのが最初のマニューバー(審査の対象となる馬の動作)
という豪快で難しいパターンだ。

試合を多く経験している熟練した馬なら何でもないパターンだが、
オクラホマの競技場では、薄暗い通路で駈歩を開始し、
そのままライトで明るく照らされている本馬場へ入場するという大きな変化がある。

ランインは駈歩をしながらのダイナミックな入場のため、
ファイナルを見ようと集まった大勢の観客が馬の入場とともに歓声を上げるので
馬術競技をする条件としては最悪?ともいえる。

気の小さい馬では勝負にならないし、そうでないにしても、
馬の集中力をライダーがいかにキープできるかが大きな鍵となる。

毎年、オクラホマのフチュリティーを見るたびに感じることだが、
NRHA (National Reining Horse Association)が発足して50年が過ぎる時の流れの中で、
競技馬の血統はより選りすぐられ、
レイニングの能力を持った馬の祖先をたどると同じような名前にたどり着く。

試合のルールは始終改訂されて、審査の基準もずいぶんと厳密になってきている。
ライダーはより正確に、より美しく演技する馬を操作しなければならず、
各マニューバーに求められる洗練された馬の動きに関しては、
芸術的な要素さえ感じざる負えない。
一体どこまでレイニングが進化するのか楽しみなような、怖いような気持ちになる。












2016/12/06 1:12:46 | リンク用URL

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